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カテゴリー ダメダメ家庭の親のキャラクター
配信日 03年12月24日
タイトル 信心深い

意外に思われるかもしれませんが、ダメダメ家庭というものは、信心深い家庭の場合が多くあります。

奇異に思われる方も多いと思います。しかし、信心深い親というのは子供にとっては大敵です。何と言っても、子供を見る以上に神様を見ているのですからね。

子供は親の言葉や行動に反応したりしますが、神様は決して反応したりはしません。ですから、神様を愛するのは自分の子供を愛するよりラクなのですね。

日本人のオーケストラ指揮者の小澤征爾さんがウィーンの国立歌劇場への音楽監督就任後のデビューに持っていったのは、チェコの作曲家ヤナーチェク(注1)作曲の「イエヌーファ」というオペラでしたね?
「イエヌーファ」と言うオペラは、ロシアの戯曲を元に、作曲家のヤナーチェクが台本を書いています。

このオペラでは「教会のおばさん」と言われる信心深く、皆から尊敬されている女性(教会で働いている女性)が、自分の養女が未婚の母となって産み落とした「父なし子」をこっそり殺してしまうことになります。
信心深いという称号を守るためなら、子供だって殺すことができる・・・それが信心深いと言うことなのですね。

実際問題、神様に向かって祈っている横で、お腹をすかした子供が倒れていたらどうするのか?

あるいは、クリスチャンの女性が「神様の話」を告げに土曜日に公園を通って様々な家庭を訪問するよくある光景があったりしますよね?「何か困っていることはないですか?神様はあなたたちを愛しているんです!」勿論それはそれでいいのですが、素通りした公園で実際に困っているホームレスの方はどうするの?難しい問題ですね?新約聖書の「よきサマリア人」(注2)の話は知らないのかな?

信心深い人は、そのようなことを考えなくても済む人であると言えます。人から与えられた御高説を疑いも無く受け入れることができる。つまり知性と感性が鈍感であるわけですね。鈍感であるがゆえに、子供にとっては大敵となるわけです。おまけにいわば権威主義者。権威筋から与えられた正論を問答無用で語る。家庭にとってもっとも必要な「会話」というものが成立しない存在であるわけです。

ちなみに、オペラ「イエヌーファ」の作曲をし、台本を書いたヤナーチェクは教会で育った人。実際の信心深い人の正体をよく見ているわけです。

またスウェーデンの映画監督のイングマル・ベルイマン(注3)も教会育ちですよね?ベルイマンにも教会での信心深い人が出てくる作品が多くあります。
ベルイマンの作品に出てくる「信心深い人」は例外なく、子供の敵ですね。

このような一般的なことばかりではなく、このような会話もあるでしょう。「お母さん!ちょっと相談をしたいことがあるんだけど・・・」「うるさいわね!今神様にお祈りしている最中なんだよ!ツマラナイことは後にしてくれ!」案外よくある会話?ですね。
子供だって神様より先の順番になるのは遠慮してくれます。

このようなことを書くと、キリストが言っている「私は人と人が争うようにするためにいるのだ!私は神様のために存在しているのであって、人間のために存在しているのではない。」という言葉を思い出す人もいると思います。キリストは人間の現世の幸福に貢献する気は毛頭ないわけです。
キリストが主張しているのは、天上での絶対的な幸福なのですから。

だからと言ってキリストは「汝の隣人を愛せよ!」と言っているわけです。自分の言葉によって反応する隣人・・・そのような身近な人間を愛すること・・・これは自分の言葉に反応することがない神様を愛するより難しいことなのですね。

神様は黙って愛されてくれます。しかし隣人や自分の子供は簡単には愛されてはくれないのです。


(注1) ヤナーチェク(1854〜1928)チェコの作曲家。ちなみに1921年完成のオペラ「カーチャ・カバノバ」は「恋に恋する女性が、親に頭の上がらない情けない男と結婚し、お姑さんにはいびられ、結局不倫に走ってしまう。そして自殺する。」という暗いオペラ。ちょうど半世紀後に起こったのがイギリスのダイアナ妃の事件ですね。
(注2) よきサマリア人・・・キリストの当時、サマリア地方の人は身分が低い扱いを受けていた。ここでキリストのたとえ話。「夏の暑い日に病気に倒れて、ウンウンうなっている人が木陰にいた。立派な身分の高い人がそれを見て何もせず通り過ぎた。次に来たサマリア人がその弱っている人に駆け寄って介抱した。さあ!どっちが神様がお喜びになるだろうか?」
(注3) イングマル・ベルイマン・・・スウェーデンの映画監督。牧師の家に生まれ父親と深刻な対立を引きずった作品を終生作り続ける。「ファニーとアレクサンドル」「秋のソナタ」等々


(終了)
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発行後記

クリスマス・イヴということで宗教的なお題でした。
と言っても、反宗教的なのかな?
ちなみに、今回は(注)をつけてみました。
クレームがあれば次回以降はいたしません。

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