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ダメダメ家庭が持っている発想
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カテゴリー ダメダメ家庭が持っている発想
配信日 07年8月24日
タイトル 約束の地

先日、山口県で高校生が祖父を殺害した事件がありました。
まあ、あの手の事件は、いまさらなので、それこそ喜んで取り上げるようなことはしたくはありません。それに、ありふれた事件なので、報道されても無視していました。
ただ、私が関心を持ち始めたのは、その犯人の高校生が、東京の秋葉原で逮捕されたことからです。

山口県で事件を起こしたのに、どうして秋葉原?
警察からの逃亡だったら、それこそ国外の方がマシ。
潜伏するのだって、東京だったら、新宿あたりの方がいいのでは?
どうして秋葉原なんだろう?

しかし、ダメダメ家庭の周囲では、なぜか秋葉原にこだわりを持つ人が多い。
何もパソコン愛好家とか、電気製品が好きとかの問題ではありません。それだったら、大阪の日本橋でもいいわけでしょ?山口県だったら、東京より大阪の方が近いでしょ?
「大阪の日本橋より秋葉原の方が、安いのでは?」って・・・交通費だってバカにならないし・・・どうして秋葉原?

電気街云々ではなく、秋葉原が持つ、オタクと言うかサブカルチャーの聖地のような雰囲気(・・・とされるようです・・・)に憧れを持っている・・・んだろうと思います。
単純な憧れではなく、常に意識し必要とする存在なんでしょうね。

山口県のご近所の鳥取でも、以前に、「東京タワー,霞ヶ関,秋葉原」を爆破するという予告をして逮捕された鳥取大学生がいました。
その事件を考えた際に触れましたが、「東京タワー,霞ヶ関,秋葉原」の3箇所のセットは異常でしょ?どうせ爆破するんだったら、皇居とか国会議事堂とか新宿駅とか東京都庁とかお台場の放送局とか・・・もっとそれらしいものがありますよ。
しかし、東京タワーも霞ヶ関も、いわば「上から命令を下す存在」の一種と捉えると理解できるようになる。つまり、それらは、父親という存在のメタファーなんですね。犯人の鳥取大学生は、父親を殺害したいと、深層心理的には思っていたわけ。

そして、そんな人の心の中では、そのような問答無用の権威者に対する対抗軸として、秋葉原という存在があるわけ。

自分自身が陥っている抑圧的な状況を一気に解放する、いわば「約束の地」として、秋葉原という場所が捉えられているわけです。
普段からの抑圧的な状況がなければ、秋葉原なんて、単なる電気街ですよ。あるいはオタクグッズがいっぱい売っている街というだけ。いわばプラグマティックな意味でコンビニエントな存在。しかし、山口県の高校生も鳥取の大学生も、買い物がしやすいというプラグマティックな感覚で秋葉原を見ていたわけではないでしょ?もっと精神的な意味での救済の場所として、秋葉原を捉えていたのでは?

逆に言うと、それだけ、問答無用の存在に対する反発があったわけ。それだけ抑圧状況だったのでしょうね。
秋葉原の近所に住んでいると、いまさら秋葉原に、期待なんて持ちようがないわけですが、離れた場所に住んでいるがゆえに、理想郷として、約束の地としての価値が上がってしまう。約束の地なり、理想郷って、離れているがゆえに、価値を持つ・・・そんなものでしょ?

秋葉原に行けば、今までの自分の問題が一気に解決する!
おお!秋葉原こそ、乳と蜜の流れる、我々の理想郷だ!

まあ、こんな感じで思っているんでしょね。

まあ、恋に恋するように、秋葉原に夢を託すのはいいとして、じゃあ、今現在の抑圧状況はどう認識しているの?
今現在のどんな問題を解決したいの?

「約束の地に行けば、すべて解決!」なんて思ってしまっているので、逆に言うと、現状認識はしなくてもよくなってしまう。
現状認識が出来ていれば、「とりあえず、この点は解決したい!」とかの順序付けもできるでしょ?あるいは、「ひとまず簡単に解決できる問題はどれなのか?」そんな思考もできるでしょ?
しかし、そんな現実的な思考には至らないわけ。
ただひたすら、「秋葉原に行けばなんとかなる!」の一点張り。

さて、今回の山口県の事件ですが・・・
今のところ報道されているところでは、

犯人の高校生は、祖父母と同居。
両親は離婚して、親の双方とも犯人の高校生とは別居。
母親が歯科医で、父親が医師。
祖父は、「勉強しろ!」とうるさかった。
高校生は、中学卒業後に自衛隊に入隊。除隊して、その後、高校に入学。

今のところは、こんなところが報道されているようです。
まあ、そんな状況を見れば、「そりゃ、事件も起こるわなぁ・・・」と思う人も多いのでは?

両親が離婚したのはいいとして、どうして、どっちかと同居しないの?
祖父を殺害するまで思いつめる前に、親には相談できないの?
と言うか、その高校生の親も、別居している自分の子供とどうコンタクトしていたの?
「オマエの母親のように勉強しろ!」と祖父が孫を叱るのはいいとして、その自慢の娘は離婚して、自分の子供と同居もしない。どこが自慢なんだか?
どうして自衛隊なんかに入隊したの?入隊するにせよ、大学を卒業した後でいいじゃないの?たぶん、親と一緒に住みたくないとか、親の経済的な負担が気苦労とか・・・つまり、それだけ親と精神的に疎遠だったわけでしょ?

これでは事件も起きますよ。何も「祖父は殺されるに値する人間だ!」と申し上げているわけではありませんよ。事件には十分な理由があると申し上げているだけです。
現実的には、こんな事例は結構ポピュラーでしょ?

強圧的で問答無用の祖父。影が薄いけど下の序列のものには容赦がない祖母。お金は持っているのに、やたらケチ。だから何もレジャーなどはしない。自分の子供の自慢はするけど、その自慢の子供とやらとは、現実的には疎遠。
そんな封建的な家庭って、結構みなさんの周囲にもあったりするものなんですね。
まあ、その手の家庭にはペットはいないし、写真もほとんどないもの。
はっきり言って「うるおい」なんてゼロ。まさに殺伐とした状態。

つまり、犯人の高校生にしてみれば、ニッチもサッチも行かない閉塞状況だったわけ。
そのような状況だと、現実的には一点突破するしかない。
どれか自分の希望にプライオリティーをつけて、最重要なものだけに集中するわけ。

しかし、そんな一点突破をするためには、自分自身の希望なり、自分の周囲の現状の認識が必要でしょ?自分から逃避してしまうと、そんな認識から逃避して、「あの○○に行けばすべてが解決!」なんて妄想状態になってしまう。

逆に言うと、どんな種類の「約束の地」を抱いているのか?ということから、その人が陥っている閉塞状況も見えてくるわけ。秋葉原という「約束の地」は、「強圧的な存在による抑圧」に対応しているわけです。
あるいは、「うるおい」のない家庭にも対応しているわけです。犯人の高校生にしてみれば、秋葉原のオタクグッズも、「うるおい」の象徴なんでしょうね。
抑圧状況でなかったら、こんなにも「憧れ」はしませんよ。

この「約束の地」の発想は、何も場所だけではありません。それこそ、「結婚したら、すべてが解決するわ!」なんて思ってしまっている人もいたりするでしょ?あるいは、「子供を持って親になったら、すべて解決するはずだ!」なんて根拠のない確信を持っている人もいますよね?
あるいは、「共産主義社会になったら、あらゆる問題があっという間に解決!」なんて本気に言っている人もいますよね?

現実を認識することを拒否して、「こうなればすべて解決するわ!」と連呼するだけ。
この状態は、以前に取り上げたプッチーニのオペラ「蝶々夫人」においても顕著です。
チョーチョーさんは、自分の現状を見ることを拒否して、「夫は帰ってくるわ!」の一点張り。
その結末がどうなったのか?オペラに詳しくない方でもご存知でしょ?

夢を持ったり、憧れを持つのは結構だし、逆に、それがないような人だったら、寂しすぎるもの。しかし、夢をかなえるためには、自分自身の現状をしっかり認識する必要があるでしょ?困難な状況だからこそ、一点突破しかない。だからこそ最重要な問題は何なのか?やっぱり自分で考えないとね。「約束の地」という形で、自分の願望がまとまっていても、それって結局は自己逃避でしょ?「約束の地」というものは、具現化された自己逃避なんですね。
「約束の地」の妄想に浸っているだけだと、現実はどんどんと悪化していくだけ。
結局は、今回の事件のように、ドッカーンとなってしまうわけ。

逆に言うと、この手の事件は、防止することが可能なんですね。
と言っても、今回の事件のような絵に描いたような典型的なシチュエーションでも、放置されたわけですので、実際には難しい。
部外者だったらせめて避けるしかないわけ。だって、みなさんの周囲でも、あんな封建的なジジババの家庭って、結構あったりするでしょ?
避けることは可能だし、避ける必要もあるわけです。それに部外者ができるのはそれくらいでしょ?

(終了)
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発信後記

ちなみに、この手の事件があると、「仲がよさそうに見えたのに・・・」なんてお約束の言葉を言う周囲の人がいたりしますが・・・
ダメダメ家庭の、特に、子供は「人に合わせすぎる」傾向があります。
だから、家族と「仲がよさそうな」子供の姿に、自分を合わせることくらいは、朝飯前なんですね。しかし、だからこそ精神的に疲れてしまう。「あの○○に行けばなんとかなる!」なんて自分をだましていても、いつまでも持つわけもなく・・・だからこそドッカーンとなってしまう。
この手の「流れ」は、まさに王道のレヴェル。
皆様の周囲だって、程度は別として、現実に起こっていることなんですね。

山口県の警察の連中がどのように考えるのかは、ともかく、警察なりマスコミが、このような事件に対し説得力のある説明をしたことって、一回もないでしょ?
だからこそ、自分の周囲の問題は、自分で判断する必要があるわけです。